＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝ 『キャンディード』2001/7/3 ※東京国際フォーラムＣホール ※19:00〜 ※１幕：85分、休憩：20分、２幕：85分 ※Ｓ席 ￥12,600- ※２階１７列３２番 ※キャンディード：石井一孝、クネゴンデ：増田いづみ、ヴォルテール：岡田真澄、 パングロス：黒田博、マキシミリアン：岡幸二郎、パケット：シルビア・グラブ オールドレディ：中島啓江、マーティン：佐山陽規、カカンボ：斎藤桐人、 老人：上田忠好 他 ※演出：宮本亜門 こーーーーーんなに、努力して報われなかった舞台は初めて。 そして、こーーーーーんなに、予習しておけば良かったと思った舞台も初めて。 努力して、努力して、努力して、そして疲れ果てて終わってしまいました。 何に努力していたかって？それは、「歌詞を聞き取ること」(苦笑)。 予習しまくって、歌詞を頭に入れていれば怖くなかった気もしているのですが。 一孝さんの声は、すっごく素直に理解できました。 岡田真澄さんも、岡さんも、シルビアさんも、佐山さんも、桐人さんも。 でも、泣きたくなるほど、オペラキャストさんの「言葉」が聞き取れない。 必死で気合いを入れていないと、ただの音として流れていってしまうんです。 他のミュージカルなら、合唱されても、自然と聞こえてくる歌詞がある。 でも、単体でも音楽にしか聞こえないし、合唱されたらもう終わり。 きっと、音楽として素晴らしいからなのだろうとは思うのですが、 オペラ声に全く慣れていない私にとっては、豚に真珠。 音が外れまくっても日本語に聞こえる方が嬉しいとしか思えないんです。 頑張って聞くと、何とか、ところどころにまとまった音が聞こえてくる。 例えば、「×、×、×、あ、い、×、つ、が、×、×」のように。 それに応答する、一孝さんや岡さんの歌詞から、 それが「あいさつが」だと推測して「挨拶が」だと理解できる頃には、 話はもう、どんどん先へと進んで、また次の努力が必要になる。 もう、オープニングのパングロス先生の講話の時点から、 すーーーーっっごく頑張ったんです。頑張って頑張って、疲れちゃいました。 １幕後半のクネゴンデのソロでは、もう一度、最後の気力を振り絞ったのですが、 長さのあまりに戦意喪失。後はもう、早く終わってくれと願うのみ。 １幕ラスト、噂の、レミと見まごう隊形を組まれた瞬間は、 あぁ、やっと終わりだ！と歓喜してしまいました(苦笑) 多分、キャンディードは、パングロス先生から何らかの教えを受けて、 それを素直に受け入れて信じて、旅を続けているんですよね？ 「原因と結果が云々・・・」というのは聞き取れるのですが、 肝心の教えがどんなものやら、どうも、よく分からない。 どんなことも最終的には理想郷にたどり着く原因であるということ？ 何しろ、キャンディードが出会う数々の酷いことが、 教えに疑問を抱かせる理由になるのだということは分かるのですが。 パングロスに対立するように描かれているらしいマーティンの立場が、 性悪説のようだから、性善説に近い感じなのでしょうか？ でも２幕は、パングロス先生もクネゴンデも、 あまり多くは歌わず、しゃべっていたので、まだ楽しめました。 特に、この舞台で唯一 笑えたのが、ジャングルのシーン！(^^) 後から考えれば、岡・石井・斉藤という見慣れたメンバーだったからか、 もう、ごくごく普通に聞いて 観ていても、話が把握できたんです。 舞台なら、話の内容について云々したい。それ以前の問題で苦労しないのが、 こんなに幸せだったのかと、泣きたくなるほど嬉しかったです。 多分、キャスト的には合っている人が多かったと思います。 前評判どおり、岡さんは、まるで当て書きのよう(*^^*) ♪僕の人生完璧さっ！と歌って、これ以上ハマる人はいないでしょう！ キャンディードの能天気な素直さは、まんま、一孝さんの明るさ。 この舞台、主役を嫌みなく受け入れられることが大切だと思うので、 石井一孝＠キャンディードは、個人的には◎。(^^) クネゴンデも、どこに行っても大モテという程でなくとも綺麗だったし、 パングロス先生も、オペラにもこんな人がいるんだ！と驚くほど、 しっかり演技されていたし、ヴォルテールもカカンボも合っていたと思います。 それに、何やかやと言いながらも、ラストは理解したかな？ 老人のセリフは、全部クリアーに聞こえて、納得できたから。 つまり、「人間、働かなきゃいかんよ」ってことですよね？ 暇になると、碌なことは考えない。ちゃんと地面を耕して、 自分で働いてみれば、哲学なんぞに惑わされず幸せになれるって。 そういう結論なら、とりあえず私は納得＆同感。 「小人閑居して不善を為す」ってのは、我が身で理解していることだし。 でも、あまりにあまりに聞き取り作業に疲れ果ててしまったので、 次のチケットは、謹んで、別の方にお譲りさせていただきました。 多分ねー、３回観たら、10回観たくなる深みのある話だろうと思うんですよ。 でも その３回が、今の私の体力・気力では耐えられないんです。それだけ。 体力と公演期間がまだまだあれば、安い席で通うのでしょうけれど、無理。 敗退するのは悔しいけれど、縁がなかったのだと諦め気分です。 ===================================================================