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 『ラヴ・レターズ』 2/6

※出演：石井一孝、七瀬なつみ
※全２幕、15分休憩込み約120分
※PARCO劇場
※全席指定￥4,000-（前売り）
※Ｚ列７番


『ラヴ・レターズ』観てきました。この演目、２回目。
でも今日のって、「ラヴ」じゃないよぉ(^^;って感じだったかも。

友人にも同意されたから言い切っちゃいますけど、
石井アンディは絶対、メリッサのことを愛していない。
っていうか、「メリッサ」という人物を見たことがないかも。
50年もの間ずっと彼が書き続けた手紙は全て、誰に宛てたものでもない。
石井アンディは、セリフにもあるとおり「手紙を書くことが好き」なだけ。
身に覚えがあるから分かるけれど、手紙を書き始めると、書くことに酔って、
だんだんと、考えなくても筆だけが走って気持ち良く書けることがある。
アンディは、電話よりも手紙を愛し続け、メリッサが亡くなった後ですら、
彼女の母に宛て「弔辞でも、あなたとの会話でも触れ得なかったですが・・」
として、名文調の長々とした手紙を書き綴る。とても気持ち良さそうに。
その行動はまさに、意識せずにそれをやっている人物。

観終わった時「最後、私、ムカムカしたわ」と、友人が言いました。
それ、すごく分かる。絶対に関わりたくない類の、最低の男だもん。
「前回(今井＆歌穂)の時は、お互い様だと思ったけど、今日のメリッサは、
絶対！アンディに殺されたんだと思う」。それにも、まるっきり賛成。
でも こういうのは、本人に言っても絶対気づかないタイプだと思う。
近づかず騙されないように、自分も肘から先でお付き合いするしかない。

七瀬メリッサは、そんな男に見事に引っかかって死んでしまった。
最初のうちこそ「私たちはお互いを見てない」なんて言ってたけれど、
少女期の、意図しない鋭い突っ込みの一つだったみたいで、
ある程度 年をくってくると、素直に男の手紙を信じてしまった。
歌穂メリッサの時は、信じたいから信じるという姿が見えて、
大人の男と女、互いに、自分のテリトリーは守りながらの
騙し騙されあいという感じで、悲惨さが少なかったけれど、
石井アンディが酷いだけに、七瀬メリッサへの同情心が高まったかも。
40歳や50歳にもなれば、こいつは自分に酔ってるだけだというぐらい、
見抜けない方も悪いんだとも思うんですけどね・・・。

ただ救いだったのは、七瀬メリッサが最後まで信じていたこと。
死んでしまってもなお、石井アンディの手紙の言葉を信じて、
「ありがとう」なんて、すごく救われた 綺麗な表情を見せていた。
「私、バカな男に引っかかって殺されちゃった」なんて恨まず、
本人が信じたままなら、そういう人生も幸せかなと思えます。
何といっても私の理想は「一生 騙し続けてくれる男」ですから(笑)
信じさせていてくれるなら、浮気してようがド貧乏だろうが、
何だって構わないんです。それで幸せだから。
だからある意味やっぱり、これも愛の話だったのかな・・・。
「破れ鍋に綴じ蓋」って言葉があるけれど、そんな感じかなあ？

でも、これを観られてすごく面白かったです。
初回の今井＆歌穂組とは あまりに違う役作りで、意外性があったし、
男女の演技の組み合わせは、こちらの方が良かったと思いますし。
一孝さんは、しょっちゅうセリフを噛むわ朗読の表情はなってないわで、
最初のうちは、彼の内心を表すかのように よく動く足と一緒になって、
どうなることやらと不安な思いで見守っていたのですが、
なかなか面白い解釈で、２幕どんどん盛り上がりましたし。
七瀬さんは最初から良かったけれど、正直 一孝さんは、
１幕では随分 先行きに不安を感じていたけれど、良かった。
この演目で泣きたいという人には向かないかもでしたけどね(笑)


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