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『アニーよ銃を取れ』

（99年１月に思い返しながら書いたものに加筆訂正しました）

禅さん自身「気が狂いそうなほど楽しい」と形容していたくらい、
楽しんで妙にキレてぶっ飛んだ奴を作ってくれていた舞台。
一目惚れしちゃうのは仕方なくって、素直に
♪俺の負けだ〜って歌っちゃうくらい、楽しかったです。

他にお目当てさんが居なかったら、絶対見てなかった自信があるけれど、
主役の高橋由美子も、思ったよりも全然よかったですし。
２回目の時は少し辛そうだったけど、最初に観た回は声も伸びていました。

それから、私はこの時点では知らない人だったのですが、
宝塚の演出家の小池修一郎さんという方が演出されていて、
その方がこの舞台に関しては、素晴らしかったのだと思います。
大きな舞台で、大人数で、内容的には本当に単純で古めかしい話を、
こんな楽しい舞台にもできるんだぁ……と、感動してしまいましたから。

マリウスの時の禅さんの枕詞って「泣きむし禅ちゃん」ですよね？
他には、「うじうじ」とか「おろおろ」とか「おボケさん」かな？
あっ、誉めてないみたいだぁ……(^^;)
でもそれが、キリッとした顔！今となってはビックリです。
ただ私、演技としてどうこう言うんじゃなくって
単純に考えて、マリウスよりフランクの方が好きですね。
やっぱり同じボケなら明るいボケの方が好みだし（笑）

本っ当に、幸せそうな役だったんですよ！！
大好きで自信持っていて努力が苦にならない事を、仕事にできていて、
それでどんどん評価されるし女にはモテるし金は入ってくるし、
「これで十分。何を考える必要があるんだ？」って感じの男。
自信満々だから更にカッコ良く見えて、つい周りも引き寄せられちゃって、
それでまた本人、ガンガンに自信付けちゃう。

途中で、自分が一番自信持っている銃で、好きな女（アニー）が
あまりにも素晴らしい事を（とは見えなかったけど）したせいで、
人生初めてショック受けて、ちょっとだけすねちゃったりもするけれど、
基本的に暗い事は考えない前向きさがウリな男なので、
結構簡単に復活して、大団円を迎えちゃったりするんです。

それを禅さんが演るとなると、一番のウリは甘い声でしょうか。(*^^*)
あの丸みのあるよく響く声と溶けちゃうような笑顔が一緒になって、
しかもプレスリー系のヒラヒラ衣装着て自信満々にカッコ付けられると、
もう……、悩殺。(^^;;)

下手すればガストンになっちゃう可能性もある役なんですよ。
何この人ぉ〜×××って感じで、引いちゃう可能性も絶対にある。
（いや私けっこう、苦笑しちゃうけど、ガストンも好きですが。）
それが素直に「キャァ〜ッッ！ラブラブゥ〜(*^^*)｣って思えたのは、
やっぱりどうしても、禅さんの人柄が滲み出て、
「どんなに自信満々のカッコイイ嫌みな奴に見えたとしたって、
実は人の良い、どっちかといえば騙されやすい奴なんだ」って
見えたからだったと思うんですよ。
宮川さん版を観ていないので正確には言えないけれど、多分、
演出自体も、フランクがそういうキャラクターに見えるように作ってあって、
それが禅さんに良く合っていたって事だと思うんですけど。

エンディングで、アニーがフランクに負けて見せて、
「俺の負けだよ、俺はやっぱり２番目でいいよ。」って言うんですよ。
その言い方も負け方も、すっごいわざとらしいものだから、
対決を見ていた周りの人も観客も、ばれちゃうんじゃないかと
ハラハラしちゃうのに、フランクだけは良い気分になって
「そうとも俺が一番だ。」みたいな事を言う所があるんですよ。
何かね、「何で気が付かないかなぁ」って呆れちゃうくらいバレバレなのに。

でも、一人だけ気付かないで良い気分になっちゃうおボケさん。
しかもそこで偉そうにしないで、その対決で手に入れた勲章を、
皆のために使おうじゃないか！って提案したりしてくれて、
すっごい良い奴でもあるんですよ。
こんなにモテモテで人生苦労なんて感じたこと無いような男、
更に言えば、苦労に出会っても、そうは感じないような幸せな人、
愛されて真っ直ぐ育ってきてることが強みなんですね〜。
いやぁ本当、惚れさせてもらいましたね、この男には。最高♪

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